内臓脂肪と皮下脂肪の違い
内臓脂肪とは、お腹周りの内臓にたまる脂肪のことです。男性につきやすく、皮下脂肪より落としやすいなどの特徴があります。
ダイエットに役立てるため、まずは内臓脂肪と皮下脂肪の違いについて解説します。
蓄積する部位が異なる
内臓脂肪は、胃や腸などの内臓の周りに蓄積します。一方、皮下脂肪は、皮膚のすぐ下につく脂肪です。全身に見られますが、主に下腹・お尻・腰回りなど下半身に蓄積します。
内臓脂肪は皮下脂肪と比べてついても目立ちにくい傾向にあります。一見痩せているように見えても、内臓脂肪がついていることもあります。そのため、体重が標準でも内臓脂肪過多の人もいるのです。
また、内臓脂肪は男性につきやすく、皮下脂肪は女性につきやすいという特徴もあります。これは、皮下脂肪の蓄積に女性ホルモンが関係しているためだと考えられています。
内臓脂肪の方が落としやすい
内臓脂肪は、エネルギー不足に備えて蓄積される脂肪です。短期間で溜まりやすいものの代謝が活発なため、比較的落としやすい特徴があります。
一方、皮下脂肪はもともと体温を保つ働きや体の組織を守るクッションの働きがある脂肪です。内臓脂肪とは逆に溜まりにくいものの、一度ついてしまうとなかなか落とせません。
つまり、内臓脂肪は努力次第で落とせる脂肪ともいえます。皮下脂肪ほど落とすのが難しいわけではありません。
内臓脂肪が増える原因5つ
内臓脂肪とは、お腹周りの内臓にたまる脂肪のことで、男性につきやすく、皮下脂肪より落としやすい特徴があります。
では、内臓脂肪はどのような原因で増えてしまうのでしょうか。まずは、内臓脂肪が増える原因として考えられる3つの理由について紹介します。
摂取エネルギーが多すぎる
摂取エネルギーの量が多く、消費エネルギーを上回ってしまうと、内臓脂肪が増える原因になります。
いわゆる「食べすぎ」によって、消費できなかったエネルギーが内臓脂肪として蓄積されるのです。
特に、普段から脂肪分が多い食事を好んで摂取していたり、仕事が忙しくて外食が多くなったりしている人は注意しなければなりません。
また、食事だけでなくアルコール類も多くのエネルギーが含まれているため、接待などでアルコールを飲む機会が多い人も要注意です。
外食や接待が続くと慢性的なカロリーオーバーになりやすく、消費されずに内臓脂肪となって蓄積されていきます。
加齢によって基礎代謝量が低下している
加齢による基礎代謝量の低下も、内臓脂肪が増える原因のひとつです。運動や食事制限をしても、年齢を重ねるほど基礎代謝が低下して太りやすくなります。
基礎代謝とは、安静にしていても消費していくエネルギーのことで、呼吸や体温維持などの生命維持のためには欠かせないものです。
比較的骨格筋でのエネルギー消費が多いのが特徴で、筋肉量の多い人は基礎代謝も高いといわれています。
基礎代謝量の維持に欠かせない筋肉量は、運動不足だけでなく加齢によっても減少していくものです。
基礎代謝量は男女ともに10代後半にピークを迎えて、それ以降は年齢とともに低下していきます。「食事量は若いころと変わっていないのに体重が増えた」という人は、基礎代謝量の低下が原因となっていることが考えられます。
生活習慣が乱れている
生活習慣の乱れも、内臓脂肪が増える原因になります。睡眠不足や生活リズムの変動によって生活習慣が乱れると、ホルモン分泌を左右する内分泌系の働きが低下して脂肪がつきやすくなるためです。
また、睡眠不足になると満腹感を抑制して食欲を増進させるホルモンが分泌されるため、ついつい食べ過ぎてしまいます。
結果的にエネルギーの摂取過多になり、内臓脂肪として蓄積されていきます。睡眠不足の状態が続くと、疲労感が解消されないままになってしまうでしょう。
筋肉量が低下して基礎代謝量が減少し、ますます体に脂肪が蓄積しやすくなる悪循環に陥りやすくなります。
ストレスや睡眠不足、暴飲暴食などの不規則な生活によって自律神経が乱れると、交感神経の働きが低下して脂肪がつきやすい体になってしまうのです。
運動する習慣がない
運動する習慣がない人も、内臓脂肪がつきやすいです。
運動をしないと消費カロリーが少なくなるため、同じ食生活を送っていても、運動する人に比べて内臓脂肪がつきやすくなります。
また、運動をしないと筋肉が衰えます。筋肉量が減ると基礎代謝が減るため、エネルギー過多になりやすく、脂肪がつきやすくなるのです。
特に、学生の頃は運動をしていた人でも、社会人になると運動しなくなる人は多いです。運動量が減っているのに食生活が変わっていないと、内臓脂肪がつきやすくなります。
ストレスが溜まっている
ストレスが溜まっている人も、内臓脂肪がつきやすくなります。ストレスによって出るコルチゾールというホルモンの影響で、内臓脂肪が増えることがあるのです。
ストレスを受けると、コルチゾールは血糖値を上昇させて対処しようとします。しかし、体力を必要としない精神的なストレスでは糖が代謝されないので、血糖値を下げるためインスリンの分泌を招きます。インスリンは糖や脂肪を溜め込むため、結果として内臓脂肪が増えることになります。
また、交感神経が優位になり続けることで血流が滞り、代謝が落ちることがあります。冷えやむくみにつながり、脂肪をためやすくなるため、体重が増加するおそれがあるのです。
現代人は、満員電車や仕事など、さまざまな場面でストレスを溜めがちです。そのため、内臓脂肪が溜まるリスクを抱えているといえます。
内臓脂肪が増え続けるとどうなる?
内臓脂肪が増えると、体にさまざまな悪影響が起こります。悪癖になってしまう場合があるため、自覚症状がないからと安心していてはいけません。
内臓脂肪は、女性よりも男性の方がつきやすい傾向にあります。いわゆる、「リンゴ型肥満」や「ビール腹」と呼ばれる体型の人は注意が必要です。
では、内臓脂肪が増え続けるとどうなるのか、ここからは、内臓脂肪の増加を放置していることで発生しうるリスクや体への影響について紹介します。
太りやすい体質になる
内臓脂肪が増え始めると、体重が増え、運動をすることがおっくうになってきます。そうなると筋肉も衰え、基礎代謝が少なくなり、さらに脂肪が溜まり、悪循環になってしまうわけです。
体型もお腹がポッコリした体型となり、姿勢が悪くなります。そのために、腰に負担がかかり、腰痛の原因になることも考えられます。
太りやすい体質になってしまった身体に、さらにストレスが加わると、内臓に溜まっていた脂肪が肝臓に溜まりやすくなり、脂肪肝や場合によっては肝硬変になる危険性があります。
健康リスクがある
内臓脂肪が増え続けると、健康にも悪影響を及ぼします。血圧、血糖値、中性脂肪やコレステロールをはじめとする血中脂質値が高くなるためです。
血圧を一定に保てなくなるため、血圧が上昇しやすくなり、高血圧を引き起こします。また、インスリンの働きが低下して血液中の糖質が増えるため、糖尿病を発症するリスクも高まるでしょう。
血中脂質値が高くなるのは、蓄積された脂肪が分解されて血液中で増えるためです。内臓脂肪の増加は生活習慣病と密接な関わりがあると指摘されており、放置すると重大な疾患につながりやすい傾向にあります。
悪化すれば心臓病や脳梗塞、糖尿病など、生命に影響するような重大な疾病を引き起こしかねません。
肥満体型ではなく、見た目では痩せていても内臓脂肪がついているリスクがあります。
そのような場合には、自覚症状がないまま症状が進行するため「気付いたときには深刻化していた」とならないためにも普段から注意することが大切です。
内臓脂肪が増えてしまうNG習慣と対策
内臓脂肪は、見た目だけではどれだけ脂肪が蓄積されているのかを判断することができません。体型に現れなくても、内臓脂肪がつきやすい習慣に当てはまる場合は、習慣そのものを積極的に改善することが大切です。
内臓脂肪がつきやすいNG習慣
ここからは、内臓脂肪がつきやすいNG習慣について紹介します。
■食べすぎ
内臓脂肪は消費エネルギーよりも摂取エネルギーの量が多くなると、つきやすくなります。そのため、食べすぎには特に注意が必要です。
下記に当てはまる人は、内臓脂肪がつきやすい状態が習慣化しています。
・満腹になるまで食べる
・頻繁におやつをとる
・アルコールを毎日飲む
・ダラダラと長時間食べ続けてしまう
アルコールは、アルコールそのものの過剰摂取だけでなく、酔うことによって満腹中枢が正常に機能しなくなり、おつまみなどを多量に摂取する原因になりかねません。
お酒を飲むときは泥酔しないよう、程よい量を心掛けて、休肝日を設けるなどして適度に楽しむようにしましょう。
■栄養バランスに偏りがある
栄養バランスに偏りがある食生活も、内臓脂肪がつきやすくなるNG習慣のひとつです。例えば、「野菜が嫌いでほとんど摂らない」「うどんやお好み焼きをおかずにご飯を食べてしまう」など、炭水化物の摂取量が多い場合にも注意が必要です。
また、「ほとんど魚料理を食べず、肉料理ばかりを食べる」「甘い飲み物や食べ物が好き」という場合にも、糖質や脂質の摂取量が多くなる可能性が高まります。
野菜類には、脂肪や糖の代謝を促す栄養が豊富に含まれており、魚料理には中性脂肪の値を下げる不飽和脂肪酸が豊富に含まれているので、積極的に摂るようにしましょう。
大切なのは、体に良い食材をバランスよく食べることです。たとえ体に良いものでも、野菜ばかり食べる、魚ばかり食べる、というのも栄養の偏りをまねくことになるため注意してください。
■生活リズムが崩れている
生活リズムが崩れていると、ホルモンバランスの低下や疲労の蓄積を引き起こし、内臓脂肪が蓄積しやすい状態になります。
休日は夜更かしやゴロゴロして過ごしている、睡眠不足が続いているという場合、睡眠時間の確保と就寝・起床時間を一定にするように意識することが大切です。
また、運動する習慣が少ない場合、加齢にともなう基礎代謝量の現象に加えて、筋肉量の低下によって基礎代謝量の減少が加速します。
エスカレーターではなく階段を選ぶなど、日常生活の中でも定期的な運動を心掛けて、筋肉量を維持するようにしましょう。
NG習慣を改善するための対策
ここからは、NG習慣を改善するための対策方法について紹介します。
■食事は腹八分目に抑える
食事量が多くなりやすい人は、腹八分目を意識して食事を摂る習慣をつけることが大切です。特に、空腹時に買い物をすると、ついつい購入予定にはないものまで買ってしまう可能性があるため注意しましょう。
買い物リストを事前に作って無駄買いをしないなど、買い物の方法から見直すのもおすすめです。買い物の際は、栄養に関係のないお菓子の量も、コントロールしましょう。
また、外食するときは食べ放題の店には行かないなど、無理に食べてしまう環境を避けることも重要です。
家庭内や職場では、「お菓子や食べ物を目に見える所に置いておかない」「お菓子を食べる時間と量を決める」などの工夫をすると良いでしょう。
■栄養バランスを意識する
「栄養バランスの乱れも、内臓脂肪が蓄積する要因のひとつである」と上述しました。そのため、栄養バランスを意識した食事を摂ることも、内臓脂肪を減らす習慣づくりには欠かせません。
筋肉をつくるのに欠かせないタンパク質や、代謝促進につながるビタミン類の摂取を意識すると良いでしょう。
また、おつまみを食べすぎて、摂取エネルギーが過多にならないように配慮することも大切です。おつまみには、豆腐や酢の物といったあっさりしたものに変えましょう。
■生活リズムを整える
内臓脂肪が蓄積しにくい体づくりには、生活リズムの見直しも重要です。特に睡眠リズムを整えるために、休日も早寝早起きで生活リズムを崩さないように心がけることが大事です。
睡眠不足にならないように、就寝直前にテレビやスマートフォンを見ないようにしましょう。夜は眠れるように部屋を暗くしておき、朝起きたらカーテンを開けるなどして、気持ちよく起床できるように環境を整えることが大切です。
普段運動不足になっている場合は、積極的に階段を使う、1駅区間を歩く、家中の雑巾がけをするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすと良いでしょう。
内臓脂肪を増やさないための方法は?
内臓脂肪は年齢とともに増えやすくなっていきます。内臓脂肪を増やさないための方法をお伝えします。
内臓脂肪を増やさない食事の仕方に改善する
内臓脂肪を増やさないための方法としては、まずは食事を見直すことが大切です。
■よく噛み、ゆっくり食べる
よく噛まずに早食いをしてしまうと、満腹感を得ることができず食欲を抑えることができません。また、血糖値を上げてしまうことにもなるため、余分な脂肪分を溜め込んでしまう原因になってしまいます。よく噛みゆっくり食べる習慣を身に付けましょう。
■夜はご飯を控えめに
夜になると活動量が減り、エネルギーの消費が少なくなります。また夜間は消化管の吸収期が高まりやすくなるため、脂肪を溜め込みやすい状況下にあるというわけです。
■食物繊維をたくさん摂取する
食物繊維は、脂質や糖質の吸収を防ぐ働きがあります。低カロリーなうえに腹持ちがよいとされています。キノコ類や海藻類はもちろんですが、豆類や野菜の中にも食物繊維は入っています。ご飯をひかえめに、魚を中心としたおかずを積極的に食べるようにしましょう。
■アルコールの量を減らす
アルコールには栄養がほとんどないうえに、カロリーが高いものが多く存在します。また、アルコールを飲みながら、高カロリーとなる食べ物を摂取しがちです。1日の摂取カロリーがオーバーしてしまう原因にもなりかねません。
飲む量は、1日25g以下がベストです。ビールで中瓶1本、日本酒なら180mlが目安です 。
運動習慣を取り入れて体を整える
内臓脂肪を減らすなら筋トレと有酸素運動を組み合わせるのがおすすめです。
ふたつを組み合わせることで、脂肪の燃焼アップにつながります。筋トレ10分に、有酸素運動をプラスしてセットで行うと効果的です。
■筋トレ
筋トレをすることで、脂肪燃焼を促進する働きのある成長ホルモンやアドレナリンが分泌されます。また、筋肉量が増えると基礎代謝が上がるため、引き締まりやすい体につながっていきます。
脂肪燃焼のための筋トレは、大きい筋肉を動かすスクワットやクランチ、腹筋などがおすすめです。より多くのエネルギーを消費し、脂肪燃焼のサポートが期待できます。
■有酸素運動
有酸素運動は、筋肉を収縮させるエネルギーを作り出すために、酸素を使う運動です。糖質や脂肪をエネルギー源とするため、内臓脂肪の燃焼効果が期待できます。
有酸素運動のなかでもおすすめは、ウォーキングやジョギング・水泳など、運動強度を調整しやすい運動です。
有酸素運動は、20分以上続けた頃から脂肪燃焼効果が高まるといわれています。あまり激しい運動になると無酸素運動になりますし、長時間続けられません。無理なく続けられるよう、強さを調整しましょう。
まとめ
内臓脂肪が増える原因と、どうすれば落とせるのかをお伝えしました。
皮下脂肪と比べると内臓脂肪は、つきやすいといわれています。しかし蓄積してしまった場合でも、食事を整えて運動を行えば、減らしやすい脂肪でもあります。
効果をあげるためのコツは毎日続けることと、記録をとって成果を実感することです。健康な体は日々の積み重ねでできあがっていくのです。