体脂肪率が増えた原因は内臓脂肪?今できる生活習慣の見直し方

2021.06.22

ダイエット

見た目は痩せていても、体脂肪率が増加傾向にある人が多くいます。体脂肪率が増えた原因は、内臓脂肪が関係していることが考えられます。
内臓脂肪が増えると、体にさまざまな弊害が出てくる可能性があります。健康な体で居続けるために、内臓脂肪を増やさないためにはどうすれば良いのか。また、増えてしまったときの改善方法などを紹介します。

この記事は約7分16秒で読み終わります。

 

体脂肪率と内臓脂肪の関係性

 

「体脂肪率」と「内臓脂肪」の関係について解説します。内臓脂肪の特徴や皮下脂肪との違いなど、内臓脂肪を減らすために必要な基礎知識について確認しておきましょう。

 

体脂肪率とは

 

体脂肪率とは、体重の「体脂肪」の重さが占める割合のことです。体脂肪は、体に蓄積される脂肪のことで、どの部位についているかによって「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に分けられます。

 

お腹や腰回りの皮下組織にある脂肪が、少しずつ蓄積されると「皮下脂肪」となります。脂肪がつくのに時間がかかる反面、一度ついてしまうと落ちにくいといわれています。

 

一方で、筋肉の内側の壁、腹腔内に溜まる脂肪のことを「内臓脂肪」と呼ばれており、主に腸間膜という場所に付きやすいのが特徴です。短期間で蓄積しやすいですが、食事を整えてや運動をすることで、落ちやすいとされる脂肪でもあります。

 

体脂肪率は、男性と女性では体脂肪の付き方が違うため、判断基準も異なります。人間の体内で最も多い構成成分は、体重の50~60%を占める水分で、次が脂肪分です。脂肪分が体重に占める割合「体脂肪率」は正常男性で15~20%、男性で20%を超えると肥満と判定されます。

 

体脂肪ときくと、マイナス的なイメージを持っている人が多くいますが、実際には身体を守るための物質をつくっているのです。

 

エネルギー源を貯蓄したり、体脂肪を燃焼させてエネルギーに変えたり、内臓を守るなど、さまざまな役割を果たしています。多くあり過ぎるのは良くないですが、少なすぎるのも良くありません。

 

内臓脂肪は体脂肪の一種

 

内臓脂肪は腹筋の内側の壁、腹腔内についている体脂肪の一種で胃や腸と直結しているために、門脈を通じて糖分などのエネルギーが出し入れしやすくなっています。そのため、食べ過ぎることによって内臓脂肪が増えていく仕組みになっています。

 

内臓脂肪の量を正確に把握するには、病院で腹部CTスキャンの検査を受ける必要があります。腹部CT検査により、体の断面式に占める内臓脂肪の面積が100 cm²以上ある場合は、「内臓型肥満」とされています。

 

内臓脂肪の面積は、CTスキャンによる検査以外でも、家庭で内臓脂肪の測定機能が付いた体重体組成計でレベルを知ることができます。

 

その他にも、ウエスト周囲径はCT検査による内臓脂肪面積と関連性があるので、すぐに自宅でも調べられます。ウエスト周囲径が男性で85cm、女性で90cmあると、内臓脂肪面積100cm²に値します。

 

内臓脂肪は男性のほうがつきやすい?

 

内臓脂肪は、男性のほうがつきやすいという特徴があります。女性は腰まわりや太ももなどに「皮下脂肪」がつきやすい一方で、男性はお腹まわりに「内臓脂肪」がつきやすいといわれています。

 

お腹まわりに内臓脂肪がつくことで、リンゴ型肥満というリンゴのようなシルエットの体型になりやすいのも男性肥満の特徴になります。

 

とくに、中年期以降になって男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が低下することで、内臓脂肪がつきやすくなるため注意が必要です。

 

テストステロンは、有酸素運動や筋トレによって分泌量が増加するといわれており、運動によって分泌を促す必要があります。そのため、テストステロンの分泌を活性化することは、内臓脂肪がつきにくい体づくりにも役立つといえるでしょう。

 
 

内臓脂肪が多いとどうなる?

 

内臓脂肪が多いとどうなるのか、体にどんな影響があるのかを紹介していきます。内臓脂肪が蓄積したまま放置していると、体調を崩すだけでなく病気の原因になる可能性もあるので注意が必要です。

 

生活習慣病を引き起こす

 

内臓脂肪の増加は、皮下脂肪の増加よりも生活習慣病を引き起こすリスクが高いといわれています。

 

内臓脂肪が増加すると、血圧の上昇・血糖値の上昇・血中の中性脂肪やコレステロール値の増加につながるためです。

 

内臓周辺に蓄積される内臓脂肪は代謝が盛んに行われているため血中に放出されやすく、血中の脂質量(中性脂肪など)を増加させる原因になります。

 

また、脂肪細胞から血圧を上昇させやすくなる物質が分泌されやすくなるため、高血圧を引き起こす要因にもなりかねません。

 

さらに、血液中の脂質量が高いままになると、インスリンの分泌が悪くなって血糖値が上昇するため、糖尿病のリスクも高くなります。

 

内臓脂肪が蓄積したまま放置していると、場合によっては心疾患や脳卒中、糖尿病、がんなどの病気を引き起こしかねません。

 

上述のような生活習慣病のリスクは、内臓脂肪が増えると高くなる傾向にあるため、内臓脂肪が蓄積しないように食事の見直しやトレーニングを行う習慣をつけることが重要になります。

 

異所性脂肪の増加

 

中性脂肪が増えると「異所性脂肪」と呼ばれる脂肪も増加します。異所性脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪のような脂肪細胞以外の場所に蓄積される脂肪のことで、近年「第三の脂肪」として警鐘が鳴らされているものです。

 

異所性脂肪は本来溜まるはずのない場所に付着することから、皮下脂肪や内臓脂肪のように見た目にはわかりにくい特徴があります。

 

増加する部位もさまざまで、心臓や肝臓などの臓器周辺から、骨格筋周辺で増加することもあるため注意しなければなりません。

 

一般的には皮下脂肪の次に内臓脂肪、さらに増加して異所性脂肪という順に蓄積されるといわれていますが、内臓脂肪と同時に増加するという説もあります。

 

異所性脂肪も内臓脂肪同様に生活習慣病のリスクが高くなるほか、蓄積した部位にある臓器の働きが悪くなる可能性があるため注意が必要です。

 

心臓周辺であれば心疾患、肝臓周辺の場合には脂肪肝や肝硬変など、命にかかわる病気に罹患するリスクが高くなるため、内臓脂肪と同時に早急に落とす必要があります。

 

隠れ肥満に

 

肥満というと、お腹周りが出ている姿を想像することでしょう。しかし、見た目が痩せていても肥満の人は多く、このことを「かくれ肥満」と呼んでいます。

 

かくれ肥満の原因として可能性があるのは、「過度な食事制限などのダイエットを行った経験のある人」「おやつなどの間食が多い」「偏食」「運動不足」などです。

 

食事制限を行って体重を落とすと筋肉の量も減り、その結果、基礎代謝が下がってしまうといわれています。そのため、食事量を元に戻すことで脂肪がつきやすい体となり、内臓脂肪が溜まりやすくなる可能性があります。

 

小腹がすいておやつを食べる習慣がある人は、「脂肪をエネルギー」として燃やす機会を減らすことになり、一度ついてしまった内臓脂肪は減りにくくなってしまう恐れがあります。

 

また、間食が少なくても、野菜ばかり食べていたり、炭水化物の多い食生活を続けていたりすると、たんぱく質が不足してしまい、筋肉が痩せていきます。その結果、基礎代謝が落ちてしまい、内臓脂肪がつきやすい体になると考えられます。

 

内臓脂肪は、身体を動かすことで燃焼してエネルギーを生み出していくため、運動不足で身体を動かさないと内臓脂肪が溜まってしまう原因となり得ます。学生時代だけスポーツをしていた人は、その筋肉が内臓脂肪へと変わっている可能性があります。

 

また、体を引き締めたけど体重が元に戻った人も内臓脂肪が多くつきやすい傾向にあります。

 
 

内臓脂肪を減らすためには

 

内臓脂肪が多いと、さまざまなリスクを背負うことになるのがわかりました。続いて、内臓脂肪を減らすためには、どうすればよいのかを紹介していきます。

 

内臓脂肪が増える原因をしっかりと把握したうえで、自分の行動に当てはまるところがないか振り返り、改善すべきポイントを探すことからはじめましょう。

 

内臓脂肪はなぜ増える?

 

内臓脂肪は、なぜ増えていくのでしょうか。要因は多岐にわたりますが、一般的に内臓脂肪が増えるのは生活習慣の乱れが要因のひとつと指摘されています。

 

とくに、食事内容は重要で、カロリーオーバーで脂質や糖質の多い食事を摂っていたり、甘いものやお酒を好んで摂取したりしている人は要注意です。

 

また、食事以外には、睡眠不足や運動不足なども内臓脂肪が増える原因として挙げられます。

 

睡眠不足によって自律神経が乱れたり、運動不足で筋力が低下して基礎代謝が落ちたりすることで、エネルギーとして脂肪が消費されず蓄積されやすくなるためです。

 

内臓脂肪はない方が良いのではなく、つきすぎることが良くないとされています。これは、内臓脂肪には内臓の位置を正しく保つ役割があるためです。

 

とくに、欧米人やアフリカ系の人と比べて日本人は筋力が低いことから、内臓の位置を保つために内臓脂肪がつきやすい体質になったともいわれています。

 

そのため、食事内容が欧米化して和食文化から変化して多様化したことも、内臓脂肪がつきやすい食事を摂る機会の増加につながっているのではないでしょうか。

 

内臓脂肪を減らすためには

 

内臓脂肪を減らすためには「生活習慣」「脂肪の代謝に役立つ食事内容」「運動習慣」の3つの要素がとくに重要です。

 

では、具体的にどのような習慣を取り入れれば、内臓脂肪を減らすことができるのでしょうか。

 

ここからは、内臓脂肪を減らすために押さえておきたい、生活習慣や食事、運動のポイントについて紹介します。

 

①生活習慣を改善する

 

生活習慣を見直すうえで重要になるのが、食習慣・喫煙・睡眠時間・ストレスの4つのポイントになります。それぞれの具体的な改善方法について確認していきましょう。

 

・食習慣
内臓脂肪がつきやすい食習慣を避け、蓄積していく脂肪量を減らすことが重要です。たとえば、野菜不足で揚げ物などの脂質が多いメニューに偏っているのであれば、食事の栄養バランスを見直すことからはじめなければなりません。

 

また、アルコールをよく摂取する人の場合、アルコールを分解するためにビタミンやミネラルが必要になるため、脂肪の代謝に必要な栄養が不足しがちです。

 

脂肪の代謝を促すためには、ビタミン・ミネラルのほかたんぱく質も重要だとされており、食事のバランスを整えるには内臓脂肪を落とすために必要であることがわかります。

 

さらに、食事の内容だけでなく食事の摂り方についても注意しなければなりません。たとえば、間食が多くなったり「ながら食べ」をしていたりすると、摂取カロリーや脂質量が増加する原因になります。

 

また、遅い時間に食事を摂ると、摂取したものがエネルギーとして消費されにくくなるため、脂肪として体に蓄積されやすくなるので注意しましょう。

 

・喫煙
喫煙習慣がある人は、内臓脂肪が蓄積しやすい傾向にあるとされています。

 

喫煙によってストレスホルモンが分泌されて血糖値が上昇するほか、肥満を抑制する物質「アディポネクチン」の分泌を阻害してしまうためです。

 

可能であれば禁煙した方が内臓脂肪を減らすうえでは効果的ですが、難しければ少しずつでも本数を減らしていく努力を行う必要があります。

 

・睡眠時間
睡眠時間は、自律神経を整えるうえで重要なポイントのひとつです。自律神経が整っていれば、食事の際に満腹中枢がしっかりと働き、脂肪の分解を促進してくれるホルモン分泌が活性化されます。

 

睡眠時間を一定に保つために就寝・起床時間を統一し、睡眠の質を高めるなどして自律神経を整える意識をもつことが内臓脂肪を減らすために重要です。

 

・ストレス
ストレスを軽減することも、内臓脂肪を減らすうえで効果的です。人が強いストレスを感じるとコルチゾールというホルモンが分泌され、血圧や血糖値を上昇させてカロリー摂取を増加させるといわれています。

 

ストレス解消のために甘いものや高カロリーな食べ物を摂取したくなるのは、コルチゾールによる影響です。

 

そのため、ストレスを軽減することができれば、暴飲暴食の抑止や血圧・血糖値の上昇抑制につながり、内臓脂肪を減らすことができます。

 

②内臓脂肪の燃焼におすすめの食材

 

内臓脂肪の燃焼を促す食材を積極的に食事に取り入れるのもおすすめです。とくに代謝を促す作用があるものや、便秘解消、血行促進につながるものが良いでしょう。また、脂肪の代謝を助けるといわれるビタミン・ミネラル、たんぱく質を豊富に含むものも効果的です。

 

具体的には、以下のような食材が挙げられます。

 

・キャベツなどの葉物類
・キノコ類
・お酢
・トマト
・豆腐
・青魚
・コーヒー

 

また、糖質を摂取する際には代謝を補助してくれる食物繊維を同時に摂取するなど、食べ合わせにも工夫するとさらに効果的です。

 

また、脂質を減らしてタンパク質を増やし、摂取する脂質は青魚やカニ・牡蠣などに多く含まれるオメガ3を中心に摂るなど食べ方や食材にも気をつけると良いでしょう。

 

③運動をする

 

内臓脂肪は皮下脂肪と違って、有酸素運動と直結しているとされています。ランニング、水泳など心拍数をあげることでカロリーが燃焼していきます。

 

内臓脂肪を早く燃焼させたい場合は、体に負荷のかかる筋トレよりも有酸素運動の方が効率的とされています。運動が苦手な人でも毎日45分~1時間程度の早足で歩くことで内臓脂肪を燃焼させることが可能であるといわれています。

 
 

まとめ

 

内臓脂肪は皮下脂肪と違って見た目ではわからない人が多く、健康被害の原因となり、体へ悪影響を与えてしまう可能性があります。

 

日頃からウォーキングやジョギングなどを行い、食事にも気を付けて内臓脂肪を減らす努力をしましょう。

 

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