体脂肪はなぜつくの?脂肪の役割とは
つきすぎてしまうと、見た目だけでなく健康にも影響を与える体脂肪。そもそも体脂肪はなぜついてしまい、どんな役割を果たしているのでしょうか。
体脂肪とは?
体脂肪とは、体に貯えられた脂肪のことを指します。血液中の脂肪である中性脂肪がもとになっている体脂肪は、蓄積される部分によって「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に分類されます。
体脂肪は体に良くないものというイメージが強く、できる限りなくしたいと思う方も多いでしょう。しかし、体脂肪が0になることはありません。
体脂肪は必要!ただしため込みすぎはNG
体脂肪は体にエネルギーを貯める役割があり、人間にとって必要不可欠な構成要素といえるでしょう。しかし、ため込みすぎには注意が必要です。
体脂肪は一度つくと、なかなか落ちなくなったり、見た目が悪くなったり、健康に悪影響を与えたりするからです。そのため、適切な量の維持が必要といえます。
脂肪が多すぎる状態は「肥満」と呼ばれ、日本ではBMI(Body Mass Index=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗])が25以上になると肥満とされています。
「体脂肪率」は、体重のうち体脂肪の重さの割合のことです。体脂肪率の標準的な数値は、男性が10.0%~19.9%、女性が20.0%~29.9%とされています。男性は20.0%以上、女性は30.0%以上になると体脂肪量増加と判断されます。
内臓脂肪と皮下脂肪の違いと見分け方
ため込みすぎると健康に悪影響を与える体脂肪ですが、ここでは内臓脂肪と皮下脂肪の違いと見分け方について見ていきましょう。
「内臓脂肪」は内臓周りに蓄積する脂肪
「内臓脂肪」とは、おなかまわりにつく脂肪のことです。胃や腸、肝臓などの内臓の周りに蓄積します。内臓脂肪は目に見えない場所につくため、痩せていても蓄積する可能性があるのが特徴です。
女性ホルモンの関係で女性よりも男性につきやすく、短期でついてしまうこともあるでしょう。内臓脂肪が多い人はおなかがぽっこりと張り出した体型になる傾向にあり、「リンゴ型肥満」と呼ばれることもあります。
皮膚がたるんでいるわけではないのにお腹が出ている場合、内臓脂肪の可能性があります。一方で、内臓脂肪は内臓の位置を保ったり、内臓同士のクッションになったりと、体の重要な役割も果たしているのです。
糖尿病や高血圧など、生活習慣病を引き起こすリスクが高いとされている内臓脂肪。ウエスト周囲径で判断すると、男性は85cm、女性は90cm以上になると内臓脂肪が蓄積していると考えられます。
ウエスト周囲径だけでなく、腹部CTスキャンや、腹部生体インピーダンス法でも内臓脂肪の蓄積度合いを確認できるでしょう。
「皮下脂肪」は皮膚組織に蓄積する脂肪
皮下脂肪は、皮膚と筋肉の間に蓄積する脂肪です。全身につき、ゆっくりと蓄積されて一度蓄積されると落としにくく、男性よりも女性につきやすい傾向があります。
特に皮下脂肪がつきやすいのが、お尻や太もも。下半身につきやすいことから「洋ナシ型肥満」と呼ばれることもあります。体の表面に近い部分につくため見た目でわかりやすく、手でつまんで痛みなくつかめれば、内臓脂肪ではなく皮下脂肪である可能性が高いでしょう。
皮下脂肪には、外部刺激から内臓を守る役割や、体温を維持する役割があります。このような重要な役割を担う一方で、皮下脂肪を蓄積しすぎると膝や腰に負担をかけてしまいます。その結果、整形外科的疾患のリスクが高まるでしょう。
体重のうち皮下脂肪の重さが占める割合を表す「皮下脂肪率」は、男性であれば8.6~16.7%未満、女性は18.5~26.7%未満が標準です。
そして、男性は16.7%以上、女性は26.7%以上になると皮下脂肪率が高いとされています。この皮下脂肪率は、皮下脂肪厚測定器を用いるキャリパー法で算出可能です。
内臓脂肪と皮下脂肪がつく原因
内臓脂肪と皮下脂肪の役割や標準的な数値がわかったところで、内臓脂肪と皮下脂肪がついてしまう原因を見ていきましょう。
食生活の乱れ
まず原因として考えられるのが、食生活の乱れです。カロリーが高い食事や食べすぎなど食生活が乱れると、消費エネルギーより摂取エネルギーが多くなってしまいます。
エネルギーが過多な状態は肥満の主な原因であり、余ったエネルギーは基本的に脂肪として蓄積されてしまいます。
運動不足
運動不足も脂肪がつく原因と考えられます。摂取したエネルギーを消費する方法のひとつが運動であり、普段運動する習慣がない場合は消費エネルギーが少なく、結果的に脂肪の蓄積につながるでしょう。
普段からクルマやエレベーター、エスカレーターを使ったり、デスクワークが中心だったりと、生活のなかで体を動かす機会がない場合も脂肪が蓄積されやすくなります。
基礎代謝量の低下
摂取エネルギーが適切であっても、基礎代謝量が低下すると、消費が追いつかなくなり脂肪がつく原因になります。
基礎代謝とは、生活しているだけで消費されるエネルギーのことです。この基礎代謝は、運動不足や加齢で筋肉が減ると低下する傾向にあります。
睡眠不足
睡眠不足も脂肪がつく原因となるでしょう。なぜなら、睡眠不足により満腹を感じさせるホルモンが減少し、食欲を増進させるホルモンが増加するからです。
さらに、睡眠不足による疲れから体を動かす機会が減り、余ったエネルギーが脂肪になってしまいます。
内臓脂肪と皮下脂肪を落とす効果的なダイエット方法
内臓脂肪と皮下脂肪を落とすための効果的なダイエット方法として挙げられるのが、「食生活の改善」と「運動習慣」。しかし、内臓脂肪と皮下脂肪のどちらを減らしたいかによって、ダイエット方法は変わってきます。
内臓脂肪を落とす効果的なダイエット方法
食生活を改善するために、まずはバランスの良い食事を心がけましょう。1日3回の食事内容と摂取エネルギー量を見直すことが重要です。
特に、野菜や豆腐などの低カロリーの食品中心の食事がおすすめです。揚げ物などの脂質が多い食品はなるべく控えるようにしましょう。
有酸素運動は脂肪燃料に効果的とされており、ウォーキングやジョギング、水泳などがおすすめです。長時間、軽度から中度の負荷で体を動かすことを意識しましょう。
スクワットやプランクなど、無酸素運動である筋トレを取り入れるのも効果的であるとされています。無酸素運動も取り入れることで、基礎代謝量がアップして内臓脂肪の減少につながります。
皮下脂肪を落とす効果的なダイエット方法
食生活においては、脂質や糖質量をコントロールしましょう。エネルギー過多を避け、摂取エネルギーよりも消費エネルギー量がやや多い状態を目指すことも大切です。
ただし、過度な食事制限は禁物。なぜなら、筋肉量が落ちると基礎代謝が低下して太りやすくなるからです。特にタンパク質や繊維質をしっかり摂るようにしましょう。
皮下脂肪には、スクワットやレッグレイズ、クランチ、ブランクなど、全身を鍛える筋トレがおすすめです。筋トレにより、基礎代謝量を上げて効率良く脂肪が落とせるといわれています。
余裕があれば、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動も取り入れることで、さらに効果的に皮下脂肪を減らせるでしょう。
内臓脂肪と皮下脂肪を落とすダイエットのポイント
努力を無駄にせず、脂肪を燃やすためには、体重を戻さない身体づくりをめざしましょう。短い期間で体を引き締めようとすると、体重が戻る原因にもなりかねません。
体重を減らすペースは、1カ月で体重の5%減を目安にするとリバウンドが防げるといわれています。
先述したとおり、食事の際も食べる順番に気をつけ、脂肪が体につきにくい食習慣を目指すことも大切です。
適度な有酸素運動を習慣的に行うことで、内臓脂肪や皮下脂肪を減らすことに効果があります。しかし皮下脂肪は内臓脂肪に比べて落としにくく、間違ったダイエットは皮膚のたるみの原因になるため注意が必要です。
まとめ
内臓脂肪も皮下脂肪も体の重要な組織ですが、ため込みすぎると見た目や健康に影響を与えかねません。
脂肪をため込んでしまう原因は、食生活の乱れや運動不足、基礎代謝の低下などが原因とされています。食生活を見直して運動を習慣づけるなど、正しい方法でダイエット習慣を身につけることが大切です。