【基礎知識】体脂肪と脂肪細胞の種類について
脂肪燃焼のメカニズムを知るためには、脂肪の種類について知っておかなければなりません。それでは早速、体脂肪と脂肪細胞の種類を紹介します。
体脂肪の種類
脂肪は、「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類に大別されます。皮下脂肪と内臓脂肪の持っている役割や、脂肪の落とし方のコツは異なるため、それぞれの特性を学んでおきましょう。
皮下脂肪
皮下脂肪とは、太ももやお尻など、皮膚の下に存在する皮下組織につく脂肪です。皮膚のすぐ下にあるため自分の指でもつまめます。
皮下脂肪は内臓脂肪と比べると落としにくい脂肪として知られていますが、運動面と食事面 の両方から正しくアプローチすれば燃焼できます。
また皮下脂肪は、授乳に備えて栄養を蓄えたり子宮を守ったりする役割を担っています。そのため、男性よりも女性につきやすい特徴を持っています。
内臓脂肪
内臓脂肪とは、小腸を包んでいる腸間膜と呼ばれる部分につく脂肪です。お腹周りにつきますが、深い部分に蓄積されていくため、自分の指ではつまめません。
内臓脂肪は放置していると、高血圧や糖尿病といった生活習慣病などの原因になってしまう恐ろしい脂肪ですが、優先的にエネルギー変換されるため落としやすいという特性があります。
内臓脂肪は男性につきやすく、ビール腹のようにお腹がポッコリと突き出るのが特徴です。
脂肪細胞の種類
脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があり、それぞれで別々の役割を果たしています。ここからは、2つの脂肪細胞の特徴を見ていきましょう。
白色脂肪細胞
白色脂肪細胞は、血液に含まれる糖や脂質を取り込んでエネルギーとして蓄える役割を果たしています。いわゆる脂肪太りの原因となる細胞です。20代前後の成人に約400億個もの白色脂肪細胞が存在しています。
摂取エネルギー量が過剰となり、白色脂肪細胞に脂肪を取り込み切れなくなると、細胞数は増加していきます。
褐色脂肪細胞
褐色脂肪細胞は、脂肪を燃焼させる機能を持つ細胞です。脂肪を分解して熱を発生させ、肥満の原因になる白色脂肪細胞を小さくする役割も担っています。
褐色脂肪細胞は、年を重ねるにつれて減少してしまいますが、大人の体内にもある程度は存在し機能しています。主に肩甲骨に存在すると言われている細胞です。
脂肪が燃焼する仕組みは?メカニズムを解説!
ここからは、脂肪が燃焼する仕組みを解説します。
中性脂肪が分解される
私たちの体は、余ったエネルギーを脂肪に変えて蓄えるようにできています。男性の場合は、内臓がある腸間膜に蓄えられるため、お腹がぽっこりするのです。こうして蓄えられた脂肪は、体内のエネルギーが不足すると、リパーゼという酵素によって分解されます。
リパーゼと呼ばれる酵素は、体を動かしたときや交感神経が優位になったとき、血糖値が低下したときに活性化します。
脂肪には分解しないと燃焼されないという特性があります。このリパーゼが中性脂肪に働きかけることによって、遊離脂肪酸とグリセロールに分解されるのです。ただしこの遊離脂肪酸は、余ると再び肝臓へ戻されて、中性脂肪に戻ってしまいます。
脂肪酸が酸素と結びついてエネルギーに変換される
リパーゼによって脂肪から分解された遊離脂肪酸は、運動時にアミノ酸由来の物質であるカルニチンと結びついて筋肉へと運ばれます。
筋肉へとたどり着いた遊離脂肪酸は、脂質をエネルギーに変換する「ミトコンドリア」という器官で酸素と結びついて消費されます。
これが、脂肪が燃焼する状態です。つまり、脂肪の燃焼には酸素が必要になります。特定の食べ物や栄養素で燃焼するわけではありません。
体内のエネルギーが不足するのは、基礎代謝や運動、そして食事制限があります。その中でも有酸素運動は、多くの酸素を体内に取り込むため、より効率良く脂肪を燃焼できるといえるでしょう。
脂肪燃焼には有酸素運動が効果的!
運動には無酸素運動と有酸素運動の2種類があります。無酸素運動は筋肉に貯められているグリコーゲンをエネルギー源とするため、酸素は使いませんし、脂肪を燃焼してエネルギーにすることもありません。むしろグリコーゲンが不足したら、自ら分解してエネルギーに変換します。
有酸素運動は大きな力を出せない反面、脂肪がある限りエネルギーが持続するため、長時間行うのが得意です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスなどが該当します。一方、無酸素運動は瞬間的に大きな力を必要とする筋トレや短距離走、ウェイトリフティングなどです。
ダイエットでは有酸素運動だけでなく、無酸素運動も行うのが良いとされています。筋肉を鍛えることで代謝が上がり、1日に消費できるカロリーが多くなるからです。また、無酸素運動は脂肪を分解する成長ホルモンが分泌されるため、有酸素運動の前に行うと、より効率的に脂肪を燃焼させられます。
脂肪を燃焼させるための有酸素運動のポイント
ここからは、脂肪を燃焼させるための有酸素運動のポイントを解説します。
筋トレをしてから有酸素運動をする
効率的に脂肪を燃焼させるためには、運動を行う順番も大切です。脂肪の減少を目的とする場合は、筋トレを先に行い有酸素運動をする方が良いといわれています。
理由としては、筋トレをすると、体内で大量の成長ホルモンが分泌されるためです。成長ホルモンは筋肉や骨を強くする働きがあるので、筋トレの後は脂肪燃焼に効果的なタイミングだといえます。
また、有酸素運動でエネルギーを消耗した状態で筋トレをしてしまうと、十分な負荷をかけられず筋トレ効果は減少してしまいます。
有酸素運動は20分以上行う
これまで、有酸素運動で脂肪が燃焼するには、20分以上かかるといわれてきました。体内のエネルギーは糖質から先に使われ、完全に消費してから脂肪が使われるという考え方からです。けれども、実際は糖質と同時に脂肪の燃焼も始まっています。その量が糖質を上回るまで20分以上かかるというのが正しい解釈のようです。
この「20分以上」というのは、一度の運動で達成しなくても、数分の運動を合計して1日20分以上であれば、脂肪の燃焼の範囲内となります。
より脂肪の燃焼が始まる時間を早めたいのであれば、糖質が不足する空腹時に有酸素運動するのが良いという考え方もあるようです。
ただし、空腹時は血糖値が下がっているため、めまいや不整脈といった体調不良が起こりやすくなります。また、運動後に脂肪の燃焼が落ち着くまでは、しばらく食事を我慢しなければいけません。すぐに食べると糖質が入って、脂肪を燃焼する量が減ってしまうからです。
他にも空腹時の運動は、筋肉のエネルギー源となる糖質が不足しているため、筋肉が分解されて自らエネルギーを作り出そうとします。あまり極端な空腹時の運動は避けたほうが無難です。
午後から夕方の時間帯に運動する
1日の中で脂肪の燃焼が促されるのは、午後から夕方にかけてです。代謝が高まり、夕方になるほど脂肪を分解する成長ホルモンの分泌も増えます。この時間帯に有酸素運動をすると、同じ運動量でも、より多くの脂肪の燃焼が期待できるでしょう。朝早く運動するのも、交感神経を優位にして、1日を活発に過ごせます。
逆に避けたほうが良いのは夜間です。激しい運動をすると、睡眠を妨げてしまいます。ストレスホルモンが分泌されやすい時間帯でもあるため、代謝が下がって運動が無駄になりやすいのもデメリットです。
むしろ軽いストレッチでリラックスして熟睡したほうが、眠っている間の代謝が促進されて、かえって痩せやすくなるでしょう。
中強度で会話ができる程度を目安にする
もう1つ重要なのが運動の強度です。あまりにも楽な運動だと必要とする酸素の量が少なくなってしまうため、燃焼する脂肪の量が少なくなってしまいます。目安は、かろうじて会話できる余裕があるくらいの強度です。心拍数にすると、40代の男性で120前後となります。
十分な酸素を取り入れられないと脂肪燃焼効果は低くなってしまうため、無理な運動は避けて徐々に体を慣らしていきましょう。
週に2~5回程度の頻度で行う
運動を取り入れる場合、週に2~5回程度を目安に行ってみましょう。運動の頻度は低すぎると脂肪燃焼の機会が足りず、高すぎても逆効果になってしまいます。運動の強度も意識しながら無理のない範囲で行い、まずは継続することを目指してください。
また、運動を継続して最大限のダイエット効果を得るためには、適切な休息も必要です。運動パフォーマンスを維持するためにも、強度が高い有酸素運動を毎日行うのは避けましょう。
脂肪燃焼には食事も大切!
脂肪の燃焼をサポートしてくれる食材を取り入れれば、早くダイエットできるかもしれません。代表的な栄養素をいくつか紹介します。
タンパク質をしっかり摂る
良質なタンパク質は、体内の筋肉を育てるために必要なので、ぜひ意識して摂取してください。
特に豚や牛のロース肉、鶏の胸肉などは良質なタンパク質が豊富に含まれています。肉の脂質が気になる方は、豆腐などの植物性タンパク質もおすすめです。
また、タンパク質は筋肉を作るだけではなく、エネルギーの消費に欠かせない酸素の原材料でもあります。良質なタンパク質の摂取と日ごろの運動によって筋肉がつけば、基礎代謝が上がるため、効率的に脂肪を燃焼させられるはずです。
脂肪燃焼をサポートする食材を摂る
牛肉や羊肉、鹿肉には、L-カルチニンという成分が豊富に含まれています。遊離脂肪酸をミドコンドリアまで運ぶ役割があり、脂肪の燃焼を促す上で欠かせない成分です。豚肉や鶏肉にも微量ながら含まれていますが、魚介類はロブスターや岩ガキが多いくらいです。
こうした肉類は良質なタンパク質が豊富です。タンパク質は筋肉の材料となるため、ダイエット中は積極的に摂りましょう。特に脂が少ない赤身の部位がおすすめです。
効率的に脂肪を燃焼させるためには、トウガラシなどのスパイス類を取り入れてみましょう。トウガラシの辛味成分であるカプサイシンには、交感神経を優位にする働きがあります。交感神経が優位になるとアドレナリンが分泌され、脂肪を分解するリバーゼを活性化するのです。結果として脂肪の燃焼も促されます。
他にも、ショウガにはジンゲロールやショウガオールといった脂肪を分解する成分が含まれています。クミンはビタミンB群やナイアシンなどの代謝を促す成分が多く、植物ステロールがコレステロールの吸収を抑えてくれる優れものです。
ただし、これらのスパイスを多用しても劇的に脂肪が燃焼されるわけではありません。トウガラシの摂り過ぎは胃を荒らしてしまいます。あくまでも適量を継続して使うのが望ましいでしょう。
まとめ
体内のエネルギーが不足すると、蓄えられていた脂肪が分解され、酸素と結びついて燃焼します。有酸素運動であれば、20分以上行うと脂肪を燃焼する量が多くなると言われています。先に無酸素運動を行っておくと、脂肪の分解がより促進されるでしょう。脂肪の燃焼をサポートする食材も積極的に摂りましょう。