嬉しい効果が期待できる断食ダイエットとは
まずは断食をすると、どのような効果を得られるのか見てみましょう。
胃腸が軽くなる
胃腸には、食べたものを消化して栄養を吸収し、老廃物と一緒に体外へ排出する役割があります。けれども、食事の摂取量が多くなると、胃腸は常に消化や吸収に追われ、休まる暇がありません。次第に機能が衰えるだけでなく、排出が後回しにされがちです。
断食をすると、その間は胃腸が休まり、細胞が修復されて本来の機能が回復します。さらに腸が空っぽになれば蠕動が促されて、便通も改善するでしょう。消化の悪い食べ物による胃もたれや、便秘による老廃物の蓄積が解消され、胃腸が軽く感じられるはずです。
免疫力がアップする
腸管には免疫細胞であるリンパ球が多く集まっているといわれています。その理由は、一般的に病原菌の多くは口から体内に入ることが多いからです。
食べ物や飲み物に含まれた病原菌は、腸管を通じて体内に取り込まれます。その病原菌が体内に入るのを防ぐために、腸管にはリンパ球が多く集まっていると考えられているのです。
断食をすると腸内環境を整えることができ、それによって免疫細胞が正常に働くようになります。その結果、免疫力アップにつながるのです。
むくみが解消する
腸を含む消化器官には、1日に大量の水が流れ込むといわれています。その処理がうまくできないと、きちんと水分を排出できず体内に溜め込んでしまうため、むくみが起きてしまうのです。
断食を行うと腸の機能回復につながり、腸がしっかりと働けるようになります。結果として、体内の余分な水分を排出してむくみが解消されるのがメリットです。
加えて、断食中はむくみを引き起こす原因となる糖質や塩分を摂取しないため、余分な水分が排出されやすくなり、むくみ解消につながります。
肌が綺麗になる
腸の機能が衰えて老廃物を排出できないと、毒素が血液中に取り込まれて体内を巡るようになります。ニキビなど肌荒れの原因です。先述のとおり、断食をすると腸の蠕動(ぜんどう)が促されて便通が改善するため、老廃物が排出されます。肌荒れも解消できるでしょう。
また、普段から外食やコンビニ弁当などに偏っていると、塩分や脂の摂取が過剰になりがちです。これらもまた、肌に悪影響を及ぼします。断食によって摂取が止まるので、より肌荒れを解消しやすくなるでしょう。
心が軽やかになる
胃腸が活発なときは副交感神経が優位になりますが、飢餓感を覚えるほど空腹になると、逆に交感神経が優位になります。これによって乱れた自律神経が整い、精神的な不調も解消されるわけです。
また、過食気味だと食べることに意識が向いて、空腹でもないのに何かを口にしてしまいがちですが、断食によってそのような意識から解放されます。胃の大きさも縮むので、少ない量でも満足できるようになるでしょう。
痩せたい人が実施している断食方4選
断食にはさまざまな方法があるので、自分に合った方法を選ぶのがおすすめです。
ここでは痩せたい人が実践している「プチ断食」「月曜断食ダイエット」「16時間断食」「3日間断食」のやり方を紹介します。
断食ダイエットを検討している方は、自分に合った方法を選んでみましょう。
プチ断食
断食ダイエットの中でも比較的ハードルが低いのがプチ断食です。プチ断食は1食抜きから始められるので、「1日何も食べないのはつらい……」という方でも気軽に行えます。
また、本格的な断食だと準備期間が必要ですが、プチ断食は思い立ったときにすぐに始められるのがメリットです。
「1食抜き」「半日断食」「1食断食」に分けて、それぞれのやり方を解説します。
■1食抜き
朝・昼・夜のいずれかのタイミングで食事を1食抜くだけですが、やりやすくて効果的なのが朝食抜きです。
朝食を抜くと夕食から昼食までの間に12時間以上の空腹時間を作れるので、十分に胃腸を休めることができます。
朝食はファスティングドリンクや酵素ドリンク、温かいしょうが紅茶などで済ませて、昼食はそばやおかゆなど消化の良いものを食べると良いでしょう。夕食は好きなものを食べることができますが、腹八分目の量に抑えるようおすすめします。
■半日断食
半日断食では、朝食だけでなく昼食も抜きます。朝食抜きのダイエットに慣れてきたタイミングで挑戦してみると良いでしょう。
朝食はドリンクを1~2杯、昼食では2~3杯を目安に飲んで済ませます。
夕食は好きなものを食べて構いません。ただし、食べ過ぎると胃腸への負担となるほか太る原因となるので、腹8分目を守りましょう。
■1日断食
半日断食も無理なくできるようになったら、3食抜きの1日断食に挑戦してみましょう。
やり方は基本的な断食と同じですが、準備期間は必要ありません。断食翌日は回復食で過ごします。
できれば断食後1~2日は消化に時間がかかる肉は避けるのがおすすめです。
月曜断食ダイエット
鍼灸院の院長である関口賢氏が考案した1週間のうち月曜日だけを断食日と決めて、ダイエットする方法です。
月曜断食ダイエットでは、1週間を3つのパートに分けます。月曜日は「不食日」、火曜日~金曜日は体に栄養を与える「良食日」、土曜日と日曜日は好きなものを食べて良い「美食日」です。
<やり方>
・月曜:断食日である月曜日は水だけを摂って過ごす。
・火曜~金曜:ビタミンや酵素、乳酸菌、野菜などをしっかりと摂る。肉や魚を食べることも可能。
・土曜・日曜:チートデイになるので、好きなものが食べられる。
週末がチートデイになるので、プライベートの予定に響きにくく、楽しく続けやすいのがメリットです。
16時間断食
名前のとおり1日のうち16時間だけ断食する方法です。
1日のうち16時間は何も食べずに過ごし、残りの8時間は何を食べても構いません。
断食をする時間は何時からでも良く、自分の生活リズムなどを考慮して好きなタイミングで断食することができます。
例えば、お昼の12時から20時までの8時間を食事の時間と決めると、食事ができないのが20時から次の日の12時までなので、それほど負担がありません。
8時間は好きなものを食べることができるため、断食ダイエット初心者にもおすすめです。
3日間断食
3日間水分だけ摂り、固形のものを口にせず、断食の前後に準備期間と回復食を設けます。
準備は1日、断食日3日、回復食3日の合計7日間になるので、1週間を断食期間として挑戦しやすいのが特徴です。
また、3日間しっかりと断食するので、断食ダイエットの効果を実感しやすいのもメリットといえます。
3日間の断食では何キロ痩せる??
3日間の断食で減少する体重には個人差があるので、一概に何キロとはいえません。ただし、軽い脱水状態にはなるため、その分だけ体重は減少します。また、体内の糖質をエネルギーにして消費すると、次は脂肪を消費する番です。
合計すると1.5~4キロ、平均で2キロ前後は痩せる可能性があります。どちらかといえば女性よりも男性、しかも体重が重い人ほど落ちるペースは速いようです。
むしろ、断食によって胃が小さくなり少ない食事量で満足できたり、食べたいという欲求から解放されたりするので、その後でさらに体重が減少するかもしれません。1回だけでなく、何回も断食を行うと、より期待できるでしょう。
断食ダイエットの注意点
断食はやり方を間違えると、痩せられないだけでなく、体調を崩す原因にもなります。どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
不調が出たら無理をしない
断食を開始して間もないうちは、眠気や頭痛、吐き気といった不調を感じることがあります。そのような場合は、無理をせずに休息や睡眠をとりましょう。
ファスティングドリンクをこまめに飲む、水分を積極的に摂るといった方法で回復することもありますが、それでも良くならない場合は断食を中断するようおすすめします。
断食ダイエットに向かない人は行わない
子どもの場合、栄養をしっかりと摂取するのが重要な時期なので、断食ダイエットは行わないようにしましょう。
また、高齢者についても断食をすることで栄養のバランスが崩れる、骨がもろくなるといったリスクがあります。ダイエットをする場合は、断食以外の方法を選ぶのがおすすめです。
服薬中や病気の治療中の方も、薬の作用に影響が出たり、病状が悪化したりするおそれがあるため、断食は行わないようにしましょう。
加えて、痩せすぎている方も栄養失調になってしまう可能性があることから、断食ダイエットはおすすめできません。
まとめ
断食をすると胃腸が休められるので老廃物の排出が促され、肌がきれいになって気分もすっきりします。まずは短期間から始めて、体を慣らすと良いでしょう。痩せたいのであれば、断食後の食事や運動が重要です。軽めの食事で栄養の吸収を抑え、運動でカロリーを消費するようにしましょう。
【この記事の監修医師】
東京女子医科大学病院、および関連病院で内科、循環器科、睡眠科として診療にあたるほか、 嘱託産業医として企業の健康経営にも携わる 木村眞樹子先生