健康維持で意識したい「運動」
健康維持のためには、適度な運動が必要です。適度な運動は、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防する効果があることが分かっています。
病気の発病だけでなく、生活機能レベルが低下するのを防ぐ効果も期待できるため、普段デスクワークが中心で運動不足になっている人は、とくに意識して心がけるようにしましょう。
具体的に、運動面で心がけることや取り入れたい運動の種類を解説していきます。
運動で心がけること
運動面で心がけたいことは、日々の運動や活動量を意識してチェックすることです。健康維持を目的とした運動の場合、週1回ハードな運動をするのではなく、毎日軽い運動を継続することが重要といえます。
そのため、1日にどれだけ活動できているかをチェックして、少しずつ活動量を増やしていけるようにしましょう。
歩数計などがあれば、一日の活動量が計りやすいです。「運動」として体を動かしていなくても、掃除や買い物など、普段の生活の中での活動量もわかります。
歩数計をつけて普段の活動量を意識するようになると、駅まで歩いてみたり、エレベーターではなく階段を使ったりと、自然と生活の中で運動量を増やす行動ができるようになるのです。
生活の中で運動する時間をなかなか作れないという人は、今の生活スタイルの中に、活動量を増やせる機会はないか振り返ってみると良いでしょう。
どのような運動をすれば良い?
運動には、以下に示す3つの種類があります。
・有酸素運動
・無酸素運動
・ストレッチ
健康維持のためには、これらを均一に取り入れることが理想的です。
有酸素運動は、筋肉を動かすときに酸素も使われる運動で、ウォーキングやジョギング、自転車をこぐなど、特定の部位を酷使するのではなく、全身を使う運動を指します。
体への負荷は、軽度~中等度で、運動に慣れていない人や苦手な人でも取り入れやすいのが特徴です。
基礎代謝量がアップしたり、脂肪燃焼効果があったりするので、ダイエットにも効果があります。
無酸素運動は、筋肉を動かすために酸素は使わない運動で、主に筋力トレーニングのような一気に筋力を使う運動を指します。腕立て伏せや腹筋、スクワットなどを思い浮かべてください。酸素を使わず、短い時間でエネルギーを消費する運動で、体への負荷が大きいのが特徴です。
筋力トレーニングは、ジムでするものと思っている人も多いですが、腹筋に力を入れたまま家事をしたり、料理中にスクワットをしたりと、意識すれば、意外と日常生活の中でも取り入れられます。
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高める運動で、血行が良くなります。筋肉の緊張がほぐれるので、疲労回復効果も期待できるのです。
仕事の合間に背伸びをしたり、軽く屈伸したりするのもストレッチに含まれるので、誰でも手軽に取り入れられる運動といえるでしょう。
有酸素運動・無酸素運動・ストレッチを、バランス良く生活に取り入れて、健康な体を目指してください。
健康維持で意識したい「食事」
毎日何気なく食べている食事も、健康維持のために意識したい項目です。食べるものが「美味しい」ことも重要なのですが、本来の目的は体に栄養を与えること。
食事で心がけることや、食事の内容について解説します。
食事で心がけること
いつ何を食べたのか、食事の内容をチェックすることは大切です。食べ物には、さまざまな栄養素が含まれており、それらをバランス良く摂取することが健康維持には欠かせません。
多くの人が知っている通り、食べすぎ飲み過ぎは内臓に負担をかけるので、食べる量も意識してチェックしておきましょう。
また、塩分の摂り過ぎは、高血圧を引き起こす原因になります。厚生労働省が定めている1日あたりの塩分摂取量、男性8g、女性7gに抑えられるよう意識すると良いでしょう。
どのような食事をすれば良い?
先ほども少し触れましたが、健康を維持するためには、栄養バランスの整った食事をするのが大切です。
五大栄養素と呼ばれる、炭水化物・脂質・タンパク質・ミネラル・ビタミンは、健康を維持するために欠かせません。
また、三色食品群も意識すれば、なお良いです。五大栄養素が体への働きごとに分けられた栄養グループに対して、三色食品群は、栄養素の種類と働きを赤・黄・緑に色分けしたグループです。
赤は体を作る栄養素、黄はエネルギーになる栄養素、緑は体調を整える栄養素となっています。
栄養を意識するほかにも、規則正しい食生活を送れるように意識しましょう。規則正しいとは、「1日3食決まった時間に、栄養バランスの取れた食事を適量食べる」ことです。
決まった時間に食事を摂ることで生活リズムが安定し、肥満予防にも効果があります。そして、腹八分目を意識して、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスを維持しましょう。
健康維持で意識したい「睡眠」
睡眠不足は、糖尿病や高血圧、動脈硬化を引き起こす原因になることがわかっています。どんなに忙しくても、健康維持のために睡眠時間はしっかり確保できるようにしましょう。
睡眠で心がけること
日本人は欧米人と比べ、睡眠時間が短いと言われています。まずは、普段の睡眠時間がどれくらい取れているかチェックしてみてください。
睡眠不足は、頭がボーッとして判断力や行動力が劣るだけでなく、生活習慣病を引き起こす原因になります。
人間は”寝溜め”することができないため、休日だけたくさん寝る方法では、睡眠を確保したことにはならないのです。
また、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も健康維持には欠かせないポイントです。毎日睡眠時間を確保していても、質が悪ければ睡眠不足状態になります。しっかり寝ているのに、疲れが取れないという状態になることもあるのです。
最近では、睡眠を記録するアプリもリリースされているので、睡眠時間を意識するために導入してみるのも良いでしょう。
質の良い睡眠をとるためには
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠が浅い眠りで、ノンレム睡眠が深い眠りの状態です。夢を見ているのは、浅い眠りであるノンレム睡眠のときで、筋肉は動かないものの脳は起きています。
睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返していますが、一番深い眠りを得られるのは、寝てから1〜2回のみと言われています。
寝て3時間以内にノンレム睡眠に入ることができれば、脳と体をしっかり休ませることができるため、質の良い睡眠といえるのです。
質の良い睡眠にするために、就寝前はリラックスできるように努めましょう。手軽にリラックスできる方法として、湯船にゆっくり浸かる方法がおすすめです。
忙しいと、ついシャワーで済ましてしまいがちですが、40度程度の温めのお湯にゆっくり浸かることで副交感神経が優位になります。さらに、入浴で体温があがり、入眠のときに体温がさがることで、入眠しやすい状態になります。そのため、入浴するのは就寝する90分ほど前が良いといわれています。
お風呂から上がったらゆったりとした気持ちで軽くストレッチをすると、さらに効果が高くなるでしょう。
生活リズムが不規則で、なかなか寝付けない人は、生活リズムを整えることからはじめてみましょう。
生活リズムを整えるためには、体内時計をリセットする方法が有効です。朝起きたら、太陽の光をしっかり浴びましょう。起きてすぐ、カーテンを開ける習慣をつけるのがおすすめです。
自分の体に合った寝具に変えるだけでも睡眠の質が向上する場合がありますので、試してみてください。
まとめ
健康維持は、仕事だけでなくプライベートを充実させるためにも必要不可欠です。少しの心がけで活動的な毎日を送り続けられるので、「運動」「食事」「睡眠」を見直して生活に取り入れてみてください。
【この記事の監修医師】
東京女子医科大学病院、および関連病院で内科、循環器科、睡眠科として診療にあたるほか、 嘱託産業医として企業の健康経営にも携わる 木村眞樹子先生